更新日 2018年05月22日

【宗派別作法】天台宗の葬儀における作法

【宗派別作法】天台宗の葬儀における作法

日本人のライフスタイルは多様化していますが、9割以上が仏式で葬儀を行います。
仏教には多くの宗派が存在し、作法もさまざまです。
天台宗は真言宗と並び「平安仏教」と呼ばれる、日本では古い部類に入る宗派。
今回はこの天台宗の葬儀の作法についてご紹介します。

天台宗とはどういう宗教か

日本に仏教が伝わってきたのは538年のこと。飛鳥時代から奈良時代にかけての仏教は、疫病や天災を鎮め、国家の平安を願うためのもので、主に権力者に信仰されていました。
平安時代に入り最澄が天台宗を、空海が真言宗を開き日本各地で布教活動を行ったため、一般の人々にも仏教が浸透していきます。
天台宗は現在あるどの宗派とも違いが少ないのが特徴。
これは後の時代に大きな影響力を持つ鎌倉仏教の開祖たち(浄土宗の法然、浄土真宗の親鸞、臨済宗の栄西、曹洞宗の道元、日蓮宗の日蓮)が天台宗で学んでいるためです。
庶民にとって仏教は縁遠いものでしたが、最澄は「人はみんな仏の子である」と説いてまわりました。
人間だれしも心の中に仏がいるので、特別な生まれでなくても、特別な修業をしなくても、真実を追求する心があれば悟りを開いて仏の世界へ行くことができるというのが天台宗の教えです。
天台宗のお経は法華経、総本山は比叡山延暦寺となっています。

天台宗の葬儀の流れは?

天台宗では人はみんな仏の子という扱いですから、故人はまず仏への弟子入りをする儀式を行ったあと、仏の弟子として浄土へ向かうという葬儀の形を取ります。
現代では亡くなったあと、一度自宅に戻り、故人の枕元に枕飾りという小さな祭壇を設け僧侶にお経をあげてもらうのが一般的です。
天台宗ではこれを「臨終誦経」と呼び、主に近親者が参列します。
通夜ではお経をあげる「通夜誦経」、仏のもとへ出家するために髪の毛を剃る「剃度式」が行われ、戒名が与えられます。

現在の剃度式は実際に髪の毛を剃るのではなく、かみそりを当てるだけです。
天台宗の葬儀は、穏やかな音楽が流れ打楽器を打ち鳴らす「列讃」が行われるのが特徴。
列讃後は棺を封じる儀式、故人にお茶を供えた旅立つ準備をし、導師が故人を浄土へ導くための読経を行います。
参列者の焼香が終わると回向文が唱えられ、葬儀は終了です。

天台宗の葬儀での焼香の回数・線香の数

天台宗では焼香の回数や作法に特に定めはなく、1回でも3回でもかまわないとされています。

また、手は額にいただいてもいただかなくても良いということになっていますが、1回か3回で行う人が多いようです。
線香も1本か3本ですが、3本の場合1本は手前に、2本は手前の線香の後ろ側に立てます。
左手であおいで、火を消してからそなえるのがマナーです。
数珠は、天台宗では薄い円形の珠が連なる平珠の数珠を使いますが、参列者が天台宗ではなく平珠の数珠を持っていない場合は、手持ちの数珠でも構いません。

天台宗の葬儀での焼香の回数・線香の数

天台宗は仏教の中でも古い部類に入るため、他の宗派には見られない儀式が行われるのが特徴です。
天台宗の葬儀に参列する際に戸惑わないよう、参列前には天台宗の葬儀のマナーをチェックしておくといいでしょう。

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