更新日 2019年01月23日

葬儀や法要などの儀式がない。華厳宗とは

葬儀や法要などの儀式がない。華厳宗とは

日本には現在仏教が13宗あります。
その中のひとつである華厳宗(けごんしゅう)とは、お葬式や法要などの儀式をしないことが特徴の宗派です。
その理由は、華厳宗が盛んだったのは仏教が伝来してまもない時代で、仏教を学問的な研究対象としていたことに起因しているといわれています。
今回は、華厳宗の特徴と儀式を執りおこなう場合の対処についてご紹介します。

華厳宗とは

華厳宗とは、現在日本にある13宗の仏教のうちのひとつです。日本の仏教は、広まった時代によって奈良仏教と平安仏教、鎌倉仏教の3つに大別されます。
華厳宗を含む奈良仏教は、遣唐使などで唐から伝えられた学問として奈良の大寺院などで盛んに研究されました。

奈良仏教には、華厳宗のほかに三論宗、成実宗、倶舎宗、法相宗、律宗があり、同じ時代に栄えた仏教として南都六宗と呼ばれます。
この中で現存するのは、法相宗と華厳宗、律宗の3つです。

華厳宗では、世界を4つに分けて考えます。「四法界(しほっかい)」といい、人間(事象)の世界である「事法界(じほうかい)」と自我を捨てた仏(真理)の世界である「理法界(りほうかい)」、このふたつが共存する「理事無礙法界(りじむげほっかい)」、事象だけが存在する「事事無礙法界(じじむげほっかい)」です。すべての事象は、同じ真理によって、互いに関係し合いながら成立しているとします。

仏教宗派の中でも学問的な華厳経

華厳宗の経典は「華厳経」で、仏の悟りそのものといわれる教えです。
開祖は杜順(とじゅん)という中国の僧とされ、杜順の教えを受け継いだ第三祖の法蔵(ほうぞう)が、のちに仏教の代表的な思想のひとつとして知られる華厳教学に発展させたといわれています。

この法蔵に学んだ審祥(しんじょう)が日本に渡り、金鍾山寺(東大寺の前身)で初めて華厳経の講義をしました。
この華厳経の講義に感銘を受けた聖武天皇が世の平安を願って造らせたのが毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)です。
奈良の観光地として有名なあの東大寺の大仏様で、華厳宗の総本山は東大寺、ご本尊は毘盧遮那仏となります。

基本的には学問的な宗派ですから、儀式などはおこなわず、信仰のために日々実践することもありません。
日本で最も古い仏教のひとつとして檀家制度が始まる前から存在するため、檀家を持たないことも特徴といえます。

お葬式やお墓などは他宗派に依頼

華厳宗の場合、お葬式を執りおこなう際には、他宗派への依頼が必要です。
お墓や戒名、お仏壇、法要なども、基本的には他宗派の作法にのっとって進めます。

真言宗の開祖である弘法大師は東大寺の別当(住職)を務めた経験があることから、お葬式などの儀式は真言宗に依頼するケースが多いといわれています。
お葬式をせずに火葬だけをする直葬という選択も可能です。
この場合、お墓は宗派を問わない霊園を選ぶようにしましょう。

枕花を贈る際のマナーや注意点

華厳宗とは学問的な宗派で、お葬式やお墓のことなど、故人を弔う儀式を華厳宗では執りおこないません。
必要な場合には他宗派に依頼をすることになりますので、前もって葬儀社などに問い合わせをしておくことをおすすめします。

供花注文書 ダウンロード
(プリントアウトしてお使い下さい)