更新日 2019年01月23日

【宗派別作法】時宗の葬儀における作法

【宗派別作法】時宗の葬儀における作法

仏教にはさまざまな宗派があり、それぞれに葬儀に参列する際の作法が異なります。
時宗は浄土系の宗派ですから、葬儀の作法として浄土宗と変わらない部分とそうでない部分があります。
時宗の考え方と作法を知り、葬儀に参列する際に落ち着いて行動できるようにしておきましょう。

時宗とは

時宗(じしゅう)とは、鎌倉時代に成立した浄土宗の流れをくむ宗派です。
現存する仏教13宗のうちのひとつで、浄土宗、浄土真宗、融通念仏宗と合わせて浄土系と呼ばれます。
平成29年度の「宗教年間」によると、浄土系の寺院など約3万のうち411ヶ所が時宗の寺院ですから、比較的規模の小さな宗派といえるでしょう。

開祖は一遍上人(いっぺんしょうにん)、総本山は神奈川県藤沢市にある清浄光寺(しょうじょうこうじ)、ご本尊は阿弥陀仏です。
一遍上人は、門弟を従えて全国を遊行(ゆぎょう)したことから遊行上人とも呼ばれ、踊り念仏や賦算(ふさん:念仏札の配布)で生涯にわたり念仏を広めました
算(さん)と呼ばれる念仏札は、信仰の有無にかかわらず配られたといい、踊り念仏は盆踊りの原型になったといわれています。
「南無阿弥陀仏」とひたすらに念仏を唱えることで極楽浄土に行けるとして、民衆から高い支持を得ました。

時宗の葬儀の特徴

時宗は浄土宗から派生した宗派のひとつですので、原則として浄土宗の作法に倣って葬儀がおこなわれます。
浄土宗の作法にはふたつの特徴があり、ひとつは「下炬引導(あこいんどう)」、もうひとつは「念仏一会(ねんぶついちえ)」です。

葬儀の中心となるのは下炬引導で、新亡(しんもう:新たに亡くなられた方)を極楽浄土に導くための儀式です。
下炬とは松明(たいまつ)に見立てた法具(仏具)を使って火葬の点火を表現することで、引導では経文を唱えることで新亡を仏道に導きます。
念仏一会とは、儀式の始まりに僧侶と参列者がともに「南無阿弥陀仏」の念仏を10回唱えるものです。

時宗の葬儀に参列する際の作法

時宗の葬儀に参列する際に知っておきたい主な作法をご紹介します。

・お焼香
お焼香の回数に特に決まりはありません。一般的なお焼香の回数の1~3回で問題ないとされています。
親指と人差し指、中指で抹香をつまみ、額の高さで押しいただいてから香炉にくべます。

・数珠
数珠のことを念珠と呼びます。時宗用の念珠は、輪をふたつ作れる長さの二連数珠、もしくはふたつの輪が交差している日課念珠を左手の親指と人差し指の間に掛けて使います。

・合掌
両手をぴったりと合わせるのではなく、手のひらの間に少し空間を作ります。
蓮のつぼみに見立てた合掌で「未敷蓮華合掌(みぶれんがっしょう)」と呼ばれます。

・お仏壇
お仏壇にはご本尊である阿弥陀様をお祀りします。
舟形光背(ふながたこうはい)の阿弥陀仏を中央に、向かって右に一遍上人、左に第二祖の真教上人(しんきょうしょうにん)の掛け軸をお祀りします。

枕花を贈る際のマナーや注意点

時宗は浄土宗から派生した宗派のため、葬儀については浄土宗の作法に倣う部分と時宗独自の作法を持つ部分があります。
時宗の寺院数が多くはないため、葬儀に参列する機会はあまりないかもしれませんが、あらかじめ作法を知っておけば儀式の際に失礼がないようにすることができます。
そのような時間を取ることがどうしても難しい場合には、僧侶の所作を見て同じようにふるまうことをおすすめします。

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